マイナンバーを収集するときには、ここに注意して対策をしましょう

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マイナンバーの収集が可能な条件

各事業者がマイナンバーを利用した事務(個人番号関連事務)を行うためには、従業員などからマイナンバーを収集しなければなりません。
ところでマイナンバーを収集する、とは、一体どういう行為を指すのでしょうか?
「収集」とは、集める意思をもって、自己の占有下に置くことを意味しています。
例えば、マイナンバーをメモすることなどです。
メモの方法は、手書きだけでなく、PCや音声など、記録の手段を問わず全ての方法によるメモが「収集」に当たるとされています。
当然、これらのメモされたものを受け取る行為も、収集にあたります。
一方で、提示されたものを確認する場合は、収集に当たりません。

現在、身分証明のために免許証が利用されることがありますが、その場合に番号を控えたりコピーを取ることが行われています。
身分証明にマイナンバーカードが利用される場合、カードの提示を受けるまでは問題ありませんが、マイナンバーの記載がある裏面をコピーしたり、マイナンバーを控える行為は、ここでいう「収集」に該当することになります。

目的外での収集・提供の求めの禁止

これまで見てきたように、マイナンバーは極めて重要な個人の情報を含んでいます。
そのため、法が定める目的以外で、マイナンバーを収集したり、提供するよう求めることは禁じられています。
先ほどの例で、身分証明でマイナンバーカードが利用される場合を挙げましたが、マイナンバーの利用目的とは関係のない身分証明であった場合、ここでの「収集」は違法となります。
十分に注意してください。

目的はあらかじめ定めて、明示する必要がある

以上のように、マイナンバーの利用目的には制限があるのですが、実際に収集する場合には、事業者内でも利用目的をあらかじめ定めておく必要があります。
法で定めている目標はあくまで上限であり、それぞれの事業者内で、改めてマイナンバーを利用する目的について、一般的・合理的に利用目的が特定できるようにしておかなくてはならないのです。
例えば「源泉徴収票作成の事務のため」や「健康保険・厚生年金手続事務のため」など、ある程度利用される事務が特定できるようにしなければなりません。

目的の追加・変更

この目的は、法で限定する目的の範囲内であれば、事後に追加・変更が可能ですが、追加・変更しようとする目的でマイナンバーを利用する前に、しなければなりません
また、そうして定めた目的は、収集する前に提供しようとする従業員などに明示しておく必要があります。

本人の同意について

あらかじめ目的を定めて、本人に明示するという手順を踏めば、マイナンバーの収集には本人の同意は不要です。
しかし、目的外の利用については、たとえ本人の同意があっても行うことはできません。
ここが、個人情報保護法との大きな違いです。
まずは目的の追加変更、本人への明示をしてから、改めて収集する必要があります。

収集の範囲にも注意!

また、法で定める目的であっても、その目的となる事務を行うために必要な範囲でなければ、収集することは許されていません。
例えば、従業員の扶養控除手続きをするためにマイナンバーを収集することは、目的の範囲内であり、合法です。
しかし、ある従業員の家族が扶養控除の対象外であった場合は、扶養控除手続きが発生しないことが明らかなので、この従業員のマイナンバーを収集することはできません。

混乱しやすいのはアルバイトと派遣社員の扱いです。
源泉徴収票を作成しなければならない以上、どれだけ短期のアルバイトであってもマイナンバーの収集が必要となります。
逆に派遣社員の場合、給与支払・社会保険などは派遣元が行うため、マイナンバーを収集することはできません。
実際に自分のところでどんな手続きを行うかによって、収集の範囲は決まってきます。

また、外部の専門家に業務依頼をした場合の報酬を支払う場合は、一定額を超えると支払調書提出義務が生じます。
この支払調書には、支払相手のマイナンバーを記載しなければならないので、この事務への利用のために支払相手にマイナンバーの提供を求めることは、問題ありません。
しかし、契約の内容などから、支払調書の作成を要しないことが明らかである場合には、事務を行う必要がないので、マイナンバーの提供を求めることができません。
このように、マイナンバー収集の際には、目的内であることは当然ですが、その必要性についても十分に注意しなくてはなりません。

収集可能なタイミング

マイナンバーを利用した事務(個人番号関連事務)を行うときにマイナンバーを収集することが、本来的なあり方です。
それでは事務が滞ってしまい、業務に重大な支障が生じかねません。
そこで、契約などによって個人番号関連事務の発生が確実であることが明らかになった時点で、マイナンバーの収集を行うことが可能であるとされています。

従業員などの社会保険・税務関係の事務を目的とする場合

雇用契約の時点で、社会保険・税務関係の事務が生じることが予想されるため、雇用契約締結時にマイナンバーの提供を求めることができます。

また、内定者の場合はその立場や扱いが個々で異なるため、一律の扱いをすることができません。 ですが、正式に内定通知書を送付し、内定者からも入社に関する誓約書が提出されているような状況であれば、内定者が「確実に入社する」ことが予想されるため、マイナンバーの提供を求めることが可能だと解されています。

一方で、人材派遣会社で登録がなされた場合ですが、その登録をもって派遣が行われるかは、未だ確実ではありません。
そのため、原則として登録時点でマイナンバーを求めることはできません。
しかし、登録時以外に登録者の本人確認をした上でマイナンバー提供を求める機会がないこと、そして登録時点で実際の給与支払い条件等の合意があるなど、近い将来に雇用契約締結の蓋然性が高いと認められる場合に限って、雇用契約に準じて、登録時点でのマイナンバーの提供の求めが可能であると解されています。

取引先の支払調書作成等の事務を目的とする場合

外部の専門家に支払った報酬や講演料などで、支払調書作成義務が生じることが契約上、明らかな場合は、契約締結時にマイナンバー提供を求めることができます。

株主への配当などで支払調書作成等の事務を目的とする場合

一般に株主においては、その資格を有することで配当を受ける権利を有することが予想されるので、当該株主が株主としての地位を得た時点で、マイナンバーの提供を求めることが可能であるとされています。
そのため、配当制限がある場合や配当が行われない蓋然性が高い場合は、この限りではありません。

マイナンバーの提供を断られてしまったら

様々な理由から、従業員等の協力が得られず、マイナンバーの提供を断られてしまう場合があります。
そのような事態への対応には「マイナンバーの収集が困難な場合」をご参照ください。

マイナンバー収集の際は本人確認を徹底する

これまで、マイナンバーを収集するために必要な条件について、確認してきました。
しかし、収集するマイナンバーは、本当に正しいものでしょうか?
そして、そのマイナンバーを提供しようとする人は、本当に本人なのでしょうか?
ここの確認ができていなければ、なりすましなどの不正が容易に行われてしまうこととなります。
このマイナンバー収集の際の本人確認は、マイナンバー制度の不正利用を防止する重要なプロセスです。
しっかりとした確認を行い、不正を未然に防ぎましょう。

マイナンバーの提供を受ける際の事業者の確認義務

番号法では、個人番号関連事務を行うためにマイナンバーの提供を受ける者に対して、提供しようとする者に次の二点を確認するよう義務づけています。

番号の真正確認
提供されたマイナンバーが正確なものであるかどうか
本人の実在確認
提供しようとする者が、本当にその番号の持ち主であるのか、その者が実在しているのか

マイナンバーの重要性を鑑みると、この二点の確認がいかに大切であるかがお分かりかと思います。
では、具体的にはどのように確認することが求められているのでしょうか。

原則はマイナンバーカードで

原則として番号法では、マイナンバーカードの提示を受けることで、上記二点の確認をすることを求めています。
マイナンバーカードは交付される時点で、本人確認が十分されていること、特定個人情報を一括記載したものであること、写真付きであり、提示者とカード名義人の同一性確認が容易であることなどが、理由として挙げられています。

なお、2015年10月以降、各家庭に交付される「番号通知カード」は、マイナンバーカードとは別物ですので注意が必要です。

代理人による提供の場合

代理人によるマイナンバーの提供の場合は、もう少し複雑になります。
まず、代理人であることを示す委任状、そして代理人の本人確認をするために免許証やパスポート、最後に、本人のマイナンバーカードの写しを用いて、本人確認をします。

扶養親族のマイナンバー収集については「扶養親族のマイナンバーの収集」をご参照ください。

マイナンバーカードの提示ができない場合

マイナンバーカードは、自分で進んで手続きをしなければ交付されることがありません。
そのため、マイナンバーカードの提示を受けずに本人確認をする方法もあります。

番号通知カードを用いる場合

各家庭に交付される番号通知カードには、マイナンバーの記載があります。
そのため、番号の正確性を確認する書類として利用することができます。

一方で、番号通知カードでは本人の実在性を確認することはできません。
そのため、実在性は以下の書類を組み合わせて確認します。

判断基準は、顔写真+氏名+生年月日または住所の記載がある書類です。
ですが、安易な判断は避けて、専門家の判断を仰いだ方が良いでしょう。

個人番号記載住民票を用いる場合

マイナンバー制度が導入されると、住民票あるいは住民票記載事項証明書にマイナンバーが記載されたものを発行してもらうことができます。
この個人番号記載住民票等での本人確認をする場合は、基本的には番号通知カードを用いる場合と同様の取扱いとなります。

本人確認が不要な、例外的場合

長年雇用関係にあるなど、特別な関係性から、本人であることが明確であり、明確である場合は、本人確認が不要な場合もあります。
現在、国税関係では以下の三つの場面が想定されています。

このうち、雇用契約締結時の本人確認とは、単に履歴書によるだけでは足りず、住民票及び免許証など、官公署が発行・薄給している書類などで実施している必要があります。
更に、そうした状況を個人番号実施事務者が確認できる必要があるので、本人確認の記録が残っていない場合には、改めて原則に従った本人確認手続をすべきかと考えます。

また、このような措置は国税関係でのみ、告示が出ていることに注意が必要です。
現在、社会保険関係でこのような措置が認められるかについては、一切回答がなされておりません。
従って、社会保険関係でも同様の手段で本人確認が可能であるかについては、拙速な判断を控えるべきでしょう。

本人確認が済んだ後の、本人確認書類について

上記のように本人確認が終わった後は、収集したマイナンバーは各事業者・団体の採用する方式によって保管されることとなります。
それでは、本人確認のために提出させた書類は、どうするべきでしょうか。
本人確認用の書類にマイナンバーが記載されている場合は、マイナンバーと同様に扱わなければなりません。
そしてマイナンバーは目的以外の理由で保有することは禁じられています。
そのため、本人確認用書類については、本人確認が適切に行われたことを確認及び記録をした上で、番号法が要求する手段により削除・廃棄を行わなうべきでしょう。
なお、本人確認をしっかり行ったことの証明資料として、本人確認書類を保管しておきたいのであれば、マイナンバーが記された部分について、復旧不可能なマスキングを施す等の処置を行った上で、保管を行う必要があるでしょう。

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