従業員の扶養親族のマイナンバーを収集する際に気をつけたいことを解説します

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扶養親族のマイナンバーを収集する場合

マイナンバー収集編では、従業員などからマイナンバーを収集する際に留意すべき点を確認しました。
では、従業員などの扶養親族のマイナンバーを収集するためには、どのような手続きをとればよいのでしょうか?
ここでは弊所に寄せられたお問い合わせにも多かった「扶養親族の委任状の必要性」を中心として、説明してきます。
また、併せて本人確認を行う段階についても説明しますので、そちらもご参照ください。

扶養親族のマイナンバーを収集する際には、扶養親族の委任状は必要なのか?

この疑問を抱かれる方は、マイナンバーの収集というものに対して、相当程度、注意を払っていらっしゃる方です。
従業員とその配偶者は別人であるから、収集の手続きは別個にしなければならないという、重要な基本をしっかりと理解されている方でないと、この疑問すら生じません。
前述の通りマイナンバーの収集の際には、本人確認が必要であり、また個人のプライバシーに関わる重要な情報であるため、扶養親族のマイナンバーを収集する際にも、独自の手続きが必要です。
しかしそれは、必ず扶養親族の委任状を必要とすることとイコールになるわけではないのです。

委任状の必要性は、個々の手続きで変わってくる

実際のところ、扶養親族の委任状が必要になるかどうかは、マイナンバー記載書面の種類や、事業者・団体の採用体制によって異なるため、一概には言えません。
判断基準としては、「マイナンバーを記載した書類の提出義務者が誰か?」ということになります。
この判断のためには、書類の提出について規定している法令によって判断するよりありませんが、ここでは代表的かつ典型的な場合を例として挙げて、説明していきます。
個別具体的な書類についての判断は、税理士や社労士などの専門家に確認を取るべきです。

事業者・団体がマイナンバー記載書類の提出をしなければならない場合

これには、国民保険第3号被保険者関係届などがあります。
この場合、従業員の扶養親族のマイナンバーを収集するためには、以下の形式が考えられます。

弊所の見解では、事務の簡便であるという点から、1つ目の方法をお勧めいたしております。
理由については後述します。

従業員が扶養親族の代理人となって、事業者・団体に提供する形式

1つめの場合は、扶養親族の委任状が必要となります。
そして、本人確認は事業者・団体が、扶養親族の代理人である従業員に対して、行うこととなります。
その際の必要書類は、以下の通りです。

この際、マイナンバーの利用目的は代理人である従業員に示せば足りるわけではないとされています。
当然、扶養親族に対して「個人番号の利用目的:国民保険第3号被保険者関係届への記載」などの利用目的通知を行う必要があります。
その際は、書面などで行うのが望ましいでしょう。

従業員が事業者・団体の代理人となって、扶養親族からマイナンバーを収集する形式

2つ目の場合は、事業者・団体による、従業員への事務委任が必要です。
この場合は事業者・団体について、番号法11条に基づく事務委託先への監督責任などが生じることとなります。
当然、委託に必要な種々の手続も必要です。
委託の手続については「正しいマイナンバー事務の委託の方法」をご参照ください。

この場合は従業員が個人番号関連事務実施者として、事業者・団体の代わりに扶養親族の本人確認を行ってマイナンバーを収集します。
そのため、扶養親族からの委任状は不要です。
もちろん、この場合も従業員を通じて、利用目的の通知をする必要があります。

どちらがより適切な方法であるか

上記二つの方法は、どちらも適法な手段です。
しかし、二つ目の方法は、従業員に対してマイナンバー取扱事務の一部を委託することとなります。
そうすると、その従業員らに対して、番号法11条が規定するような監督義務が生じることとなります。

それだけではありません。
マイナンバーの安全管理措置上、そうした従業員らもマイナンバーを取扱う者としての対応をしなければならないので、その分、余計な管理監督の手間が生じます。
そのためのコストは、事業者・団体において、扶養親族の本人確認をするコストをはるかに上回るのです。
本人確認のための体制づくりは、従業員に対するものを流用できますが、マイナンバーを取扱う者の数が増えれば増えるほど、そこからの漏えい・損失を防ぐための手段を講じる必要が生じ、必然的に対策コストと漏えい・損失リスクが高まってしまいます。

事業者・団体において、マイナンバーの安全管理措置は、その継続性と確実性の維持という観点から、できる限り負担の少ないものであることが、望まれます。
そうした理由から、弊所では扶養親族の委任状が必要である、1つ目の形式で扶養親族のマイナンバーを収集する方法をお勧めしております。

従業員等が事業者・団体を通じて、マイナンバー記載書類を提出しなければならない場合

これには給与所得者の扶養控除等(異動)申告書などがあります。
この場合は従業員と事業者・団体はそれぞれ別個に提出義務者としての地位を有しています。
そのため、従業員自身が独自に「個人番号関連事務実施者」として行うものであり、事業者・団体がマイナンバー取扱事務の委託を行っているわけではないため、番号法11条の監督義務も生じません。

また事業者・団体は、従業員の扶養親族のマイナンバーを収集するのではなく、個人番号関連事務実施者が収集したマイナンバーの提供を受ける扱いとなるため、扶養親族の委任状は要りません。
同様に、本人確認も、事業者・団体が行う必要はありません。

しかし、事業者・団体も個人番号関連事務実施者であるため、利用目的についてはあらかじめ設定し、扶養親族にも通知する必要があります。
その際は書面などでの通知が望ましいでしょう。

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